Vol.240_検索の終焉へ。Perplexityが挑む、AIブラウザ革命とGoogle超えの戦略/OpenAI精鋭チームが独立「Thinking Machines Lab」が20億ドル調達でAI業界に殴り込み/「偽物はもういらない」─AI時代のキャリアとスタートアップを再定義する、Y Combinatorのリアルな警鐘
Perplexityは「AI検索」から「知能ブラウザ」へ進化中。GoogleやOpenAIとの競争の中、次世代UXを武器に覇権を狙う。速度・精度・体験が鍵/OpenAI精鋭が集結した「Thinking Machines Lab」が20億ドル調達。初のマルチモーダルAIが近く公開へ。AI業界に新旋風/AI時代、学歴も安定職も幻想。本物の価値を創り出す力こそが、次世代のキャリアと富を決める鍵に
みなさん、おはようございます。今日のニュースです。
Picks
1. 「検索の終焉」へ。Perplexityが挑む、AIブラウザ革命とGoogle超えの戦略
「Perplexityはもう終わり」と毎年言われ続けても、終わらないどころか加速している。CEOのアラビンド・スリニバスが明かす、次世代AI検索の裏側と、GoogleやOpenAIと真っ向勝負する覚悟とは。検索の概念を塗り替える“知能ブラウザ”構想、競合との仁義なき戦い、そしてスタートアップに求められる「狂気」の哲学がここにある。
要旨:
想像を超える利用爆発──Perplexityはいま何が起きているのか
Perplexityは今や、インフラが日々悲鳴を上げるほど使われている。検索精度と速度への異常な執着、Q&A体験の磨き込みで、ユーザーのリテンションを維持。競合が模倣しようが「俺たちはとにかく速く正確に届ける」ことに全リソースを投じている。
次の一手は「ブラウザの再定義」
彼らが次に狙うのは、検索エンジンではなく「AIネイティブなブラウザ」。名前はComet。これまでのブラウザを「ただの表示装置」から「知能OS」へと変える。メール、予定、ショッピング、調査――すべてがタブの中で並列に自律的に動く世界。それは、もはや人類の“第二の脳”だ。
GoogleとOpenAIを出し抜くために必要なこと
Perplexityは、GoogleやOpenAIが同じ方向に進んでくることを前提に戦っている。勝つために必要なのは、たったひとつ。「速度」だ。彼は言う。「君が世界で一番賢いとしても、それが遅ければ意味がない」。Googleが抱える広告ビジネスとのジレンマを尻目に、Perplexityはただひたすらに前へ進む。
変化の予兆:
AI×ブラウザは次の主戦場。Cometがブラウザ市場で地位を確立できれば、検索市場に続く破壊的変革が起こる。
WebがAI最適化される未来において、従来のSEOや広告モデルは限界を迎える。
AIエージェントがユーザーに代わって行動する時代には、API連携よりも「人間のように操作するブラウザ」が有利となる。
モデルラボが製品を模倣しても、UXとブランドで差別化すれば生き残れる。
引用元: YC
2. OpenAI精鋭チームが独立「Thinking Machines Lab」が20億ドル調達でAI業界に殴り込み
OpenAIの中核メンバーが新会社「Thinking Machines Lab」を立ち上げ、シードラウンドで前代未聞の20億ドルを調達。会話や視覚を駆使する“マルチモーダルAI”を武器に、最初のプロダクトは数カ月以内に登場予定。業界の潮目を変える可能性大。
要旨:
1. 資金調達のスケールが桁違い
OpenAI元CTOのミラ・ムラティがCEOに就任し、ジョン・シュルマンらエース研究者たちと設立。
初期資金として20億ドル(約2,900億円)を獲得、評価額は1.7兆円。a16z、NVIDIA、AMDなど名だたる巨頭が出資。
シードラウンドとしては“史上最大”。これはもはやベンチャーというより最初からメガ企業。
2. 開発するのは“人間と自然に会話するAI”
会話、視覚、協働作業などを統合する“マルチモーダルAI”を開発中。
近く公開される初製品には、オープンソース要素を多数含む予定で、研究者やスタートアップの新たな武器になりそう。
研究成果も順次公開予定と、業界との共創姿勢を明確に打ち出す。
3. AI人材の争奪戦が「ガチすぎる」
Metaのザッカーバーグは数百万ドルでOpenAI研究者を引き抜くなど、AI業界は「引き抜き合戦」の真っただ中。
Thinking Machinesの設立メンバーも当然そのターゲットだったと見られるが、静かに自前のチームを固めてきた。
「AIのF1チーム」さながらの人材構成で、注目が集まるのも当然。
変化の予兆:
初製品の内容次第では、OpenAIやAnthropicに続く“第3極”となる可能性がある。
オープンソース重視の戦略が功を奏せば、開発者コミュニティを巻き込んだエコシステム構築に発展。
今後もAI人材をめぐる争奪戦は加熱し、トップ研究者の市場価値は青天井に。
引用元: WIRED
3. 「偽物はもういらない」──AI時代のキャリアとスタートアップを再定義する、Y Combinatorのリアルな警鐘
Y Combinatorの主催するライブイベント「Light Cone」で、トップレベルの起業家・投資家たちがAI時代におけるキャリア、スタートアップ、教育、そして「本物の価値」について率直に語った。模倣や幻想に依存する時代は終わり、これからは実体のある貢献が問われる。従来のキャリア観や学歴信仰がAIによって揺らぐなか、真に社会に役立つものを創り出す意志と行動こそが、これからの時代に求められるというメッセージが発信された。
要旨:
「最後の金儲けの窓」は幻想か?
AIの進化により、従来の「安定職」だったエンジニア職ですら揺らいでいる。CS専攻の失業率が美術史専攻より高いという衝撃的なデータ(2024年2月のNY連銀発表)もあり、もはや「大学→大手就職」は安全なキャリアパスではないという認識が広がっている。
学歴と「偽の資格」の終焉
教育が単なる「指示に従う能力」の証明となっていたが、AIはその役割を代替可能にした。これからは、指示待ちではなく「自ら問題を見つけて解決する能力」が求められる。起業家教育やアクセラレータの中には「嘘をついてでも投資を得る」ことを教える場もあり、SBFやTheranosのような「空虚な成功モデル」を再生産してしまう危険性がある。
本質に立ち返る──「実体のある価値」こそが評価される時代
SNSやメディアによって作られた「オーラ」や「外見の成功」ではなく、ユーザーに直接価値を届けることが最重要とされる。現在のAIスタートアップでは、従業員5〜10人で年商12億円規模に到達する例も続出。これは単なる話題性ではなく、実際に「人間の業務を代替するツール」を提供できているからに他ならない。
変化の予兆:
大卒・新卒ブランドの相対的価値はさらに低下:AIの進化により、「学歴=信頼性」という構図は崩れる。
技術×ドメイン知識の再定義:AI技術に精通し、特定分野に深く潜る者が次のユニコーンを生む。
“ニッチ市場”の価値が爆発的に増加:一見地味な領域でも、AIによって価値が10倍以上に跳ね上がるケースが出てくる。
個人の「エージェンシー(主体性)」が最大の武器に:変化の激しい時代において、自ら学び、動き、創る者こそが勝者になる。
引用元: YC