Vol.199_Googleが"Gemini 2.5 Pro"を発表, AI推論能力が飛躍的に進化/韓国AIチップ企業FuriosaAI、Metaの8億ドル買収提案を拒否/Google,AIチップ開発でMediaTekと提携へ─Broadcom依存からの脱却を加速
Googleは、AIモデル「Gemini 2.5 Pro Experimental」を発表した。強化学習とチェーン・オブ・ソートを活用し、推論力と文脈理解力を大幅に向上/イ韓国のAIチップ企業FuriosaAIがMetaの8億ドル買収提案を拒否し、独立成長を選択。AIチップ市場の競争激化/GoogleがMediaTekと提携し、次世代AIチップTPUの開発を強化
みなさん、おはようございます。今日のニュースです。
Picks
1. Googleが「Gemini 2.5 Pro」を発表、AI推論能力が飛躍的に進化
Googleは、AIモデル「Gemini 2.5 Pro Experimental」を発表した。強化学習とチェーン・オブ・ソートを活用し、推論力と文脈理解力を大幅に向上させたこのモデルは、AIモデルのベンチマークLMArenaで最高評価を獲得し、コード生成・数学・科学分野のベンチマークでも高得点を記録している。
詳細
推論能力の飛躍的進化
Gemini 2.5は、従来のモデルを超えた推論能力を実現した。強化学習と「Flash Thinking(即時思考)」を組み合わせ、問題を「考える」ように処理することで、文脈・ニュアンスを踏まえた高精度な応答が可能になった。コーディング能力と応用性の強化
Gemini 2.5 Proは、1行のプロンプトから実行可能なゲームコードを生成できるなど、実用的なコード生成能力が向上。Webアプリやエージェント型アプリの構築、コード変換・編集も得意とする。ロングコンテキストとマルチモーダル対応
最大100万トークン(将来的に200万トークン予定)の長文処理が可能で、テキスト・画像・音声・動画・コードを横断的に理解・活用できるネイティブなマルチモーダル性を維持している。
変化の予兆:
Gemini 2.5の進化は、AIエージェントの実用化に向けた布石であり、複雑な判断を伴う業務への応用が加速する見込みだ。今後、開発者向けツールやエンタープライズ用途での導入が拡大するだろう。
引用元: CHROME UNBOXED
2. 韓国AIチップ企業FuriosaAI、Metaの8億ドル買収提案を拒否
韓国のAIチップ開発企業FuriosaAIが、Meta Platformsからの8億ドルの買収提案を拒否し、独立した成長戦略を選択したことが報じられた
要旨:
買収提案の背景と交渉経緯
Metaは2025年初頭から、ソウルに本社を置くFuriosaAIの買収交渉を進めていた。提案額は8億ドルで、市場評価を上回るものであったが、FuriosaAIは独立した成長戦略を優先し、提案を拒否した。
FuriosaAIの技術と市場での位置付け
2017年に設立されたFuriosaAIは、AI推論処理に特化したNPUを開発するファブレス企業である。第2世代プロセッサー「RNGD」は、エヌビディアのH100 GPUに比べ、電力消費が25%で、性能効率は2倍に達するとされる。
今後の資金調達と事業計画
FuriosaAIは現在、約700億ウォン(約48億円)の資金調達を進めており、RNGDチップを年内に市場投入する計画である。また、増資を行った上で最終的に新規株式公開(IPO)を目指している。
変化の予兆:
FuriosaAIの独立路線は、AIチップ市場における競争を一層激化させると予想される。特に、独自のハードウェア開発を進める大手テクノロジー企業にとって、FuriosaAIの動向は今後の戦略に影響を与える可能性が高い。また、同社の成功は、他の新興企業にとっても独立した成長戦略の一例となり得る。
引用元: Reuters Japan
3. Google, AIチップ開発でMediaTekと提携へ─Broadcom依存からの脱却を加速
Googleは次世代AIチップ「TPU」の開発において、台湾のMediaTekと提携を計画している。これは、長年のパートナーであるBroadcomとの価格交渉に起因する動きであり、Googleは自社開発比率を高めつつ、供給の多様化を図っている。
要旨:
Broadcomからの部分的離脱とMediaTekの役割
Googleは過去9年間、TPUの開発をBroadcomと独占的に行ってきたが、価格交渉の難航を受け、よりコスト効率の良いMediaTekとの提携に踏み切った。MediaTekは主に入出力モジュールの設計や製造発注、品質管理を担う。
自社設計比率の増加と台湾での人材採用
Googleは次世代TPUの設計の大部分を自社で行う方針であり、台湾でのチップ設計エンジニア採用を進めている。これは、設計の内製化を強化し、BroadcomやMediaTekへの依存を減らす狙いだ。
AIチップ戦略の拡張とクラウドビジネス
GoogleはTPUを用いてGeminiのようなAIモデル開発を行う一方、クラウド顧客にもレンタル提供している。TPUはNvidia依存から脱却し、AI競争で優位に立つための重要な武器となっている。
変化の予兆:
Googleは今後、TPUの完全自社設計・製造に向けて動く可能性が高い。
他社(例:OpenAI)もGoogleのTPU戦略に追随し、Nvidia依存脱却の動きが強まる見込み。
BroadcomのTPU関連売上の一部減少は避けられず、他の顧客への依存度が増すだろう。
引用元: The Information
>Google, AIチップ開発でMediaTekと提携へ─Broadcom依存からの脱却を加速
まだテレビが元気だった時代に、無線LANチップ開発の際、Broadcom、Qualcommの2大巨頭に、Realtek、Ralinkという新興メーカーと性能×価格で毎年コンペしてました(ICメーカーに加え、ODMメーカー複数社も)。RalinkがMediaTekに買収され、TVの心臓部だるSoCもいよいよ自社開発が困難となり、MediaTekのターンキーSolもでてきてからは、MediaTekの時代がきました。自社開発も差別化できないところまでくると規模の経済でコストがかさむので、量子チップまで見込んだ自社開発がどこまでできるかがキモにあると思われます。