Vol.163_世界初の商用規模核融合発電所,米バージニア州で建設/生成AIの急拡大がもたらす環境負荷/OpenAI,ヒューマノイドロボット開発を再検討か
米バージニア州に世界初の商用核融合発電所建設へ。2030年代稼働予定、400MW供給可能。未来のクリーンエネルギーが現実に/生成AI普及でデータセンターCO2排出量が3倍に。化石燃料依存と高い炭素強度が課題。原子力発電は解決策となるか?/OpenAIが自社のヒューマノイドロボット開発を再検討中との報道。2021年にロボティクス部門を閉鎖して以来の動きで、業界の競争が激化する中、再参入の可能性が注目
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1. 世界初の商用規模核融合発電所、米バージニア州で建設へ
スタートアップ企業Commonwealth Fusion Systems(CFS)が、世界初の商用規模の核融合発電所を米国バージニア州リッチモンド近郊に建設する計画を発表した。2030年代初頭の稼働を目指し、400メガワットの電力を供給可能とする。この発電所は、長年「未来の技術」とされてきた核融合エネルギーの商用化への重要なステップとなる。
要旨:
プロジェクトの概要と目標
CFSはマサチューセッツ工科大学(MIT)発のスタートアップで、これまでに20億ドル以上の資金を調達している。同社は、原子を融合させて膨大なエネルギーを生み出す核融合技術を用い、2030年代初頭までに400メガワットの電力を商用電力網に供給することを目標としている。この規模は約15万世帯の電力需要を賄うに十分である。核融合技術とその意義
核融合は、宇宙の星々を動かす仕組みを模倣したもので、水素を燃料に用いるクリーンかつ無限のエネルギー源である。従来の核分裂技術と異なり、放射性廃棄物をほとんど残さず、地球温暖化ガスを排出しない。ただし、研究から商業利用に移行するまでの道のりは険しく、「常に数十年先の技術」と揶揄されてきた。バージニア州選定の背景
CFSは世界中から100以上の候補地を検討した結果、バージニア州リッチモンド近郊を建設地に選定した。この場所は経済成長、熟練労働力、クリーンエネルギーへの取り組み、さらに既存の石炭火力発電所の退役による送電網接続の容易さが評価された。同州はデータセンター市場が世界最大規模であり、今後急増する電力需要に応えることも狙いの一つだ。
変化の予兆:
この発電所は核融合商用化の第一歩とされるが、技術的課題や許認可手続きの複雑さが予想される。一方、核融合業界全体で技術開発のスピードが加速しており、同様のプロジェクトが複数進行中である。仮にCFSが計画通りに実現できれば、次世代エネルギーの道を切り拓き、クリーンエネルギー市場に革命をもたらす可能性が高い。
引用元: CNN
2. 生成AIの急拡大がもたらす環境負荷―データセンターが抱える課題と未来
生成AIの普及により、米国のデータセンターからの二酸化炭素排出量が2018年以降3倍に増加している。多くのデータセンターが化石燃料に依存している一方、AI企業は持続可能性目標の達成と競争激化の狭間で苦悩している。原子力発電の導入が検討されるが、導入までの課題は依然多い。
要旨:
AIの普及によるデータセンターの排出量急増
米国内に存在するデータセンターからのCO2排出量は、2018年以降3倍に増加。これにより、データセンターが米国民間航空業界に匹敵する主要な汚染源となった。立地の課題と炭素強度の高さ
多くのデータセンターが石炭産出地域に集中しており、これが全国平均よりも48%高い炭素強度をもたらしている。また、95%のデータセンターが「汚い」電力源を使用していると指摘されている。原子力発電と新たな展望
AI企業は電力供給の安定化と脱炭素化を目的に原子力発電の導入を模索。メタ、マイクロソフト、アマゾンなどが動きを見せるが、原子力発電所の建設には時間がかかり、世論の支持も限定的である。
変化の予兆:
今後、AIの電力需要はさらに増加すると予測される。再生可能エネルギーと原子力発電の活用は必須だが、技術革新や政策支援が追い付かなければ、排出量増加の抑制は難しいだろう。また、東南アジアの新興国がAI産業の新たなハブとなる可能性も高い。
引用元: MITテクノロジーレビュー
3. OpenAI, ヒューマノイドロボット開発を再検討か
OpenAIが自社のヒューマノイドロボット開発を検討していたことが報じられた。 同社は2021年にロボティクス部門を閉鎖していたが、近年のハードウェアとAIシステムの進展を受け、再び関心を示しているようだ。
要旨:
過去のロボティクス部門の閉鎖: OpenAIは2021年にロボティクス部門を静かに閉鎖していた。しかし、近年の技術革新により、再度ヒューマノイドロボットの開発を検討していると報じられている。
他社への投資: OpenAIはこれまでに、ヒューマノイドロボットを開発する企業であるFigureや1X、そして「汎用AI」企業のPhysical Intelligenceに投資してきた。
特にFigureは、OpenAIの支援を受けて最新のヒューマノイドロボット「Figure 02」を発表している。
競争の激化: テスラやXiaomiなど、多くのテック企業が独自のヒューマノイドロボットを開発しており、OpenAIがこの分野に再参入する場合、既存の競争相手に追いつくための努力が必要となる。
変化の予兆:
ロボティクス分野への再参入: OpenAIが自社のロボティクス部門を再構築し、独自のヒューマノイドロボット開発に乗り出す可能性がある。
パートナーシップの強化: 既存の投資先企業との連携を深め、技術開発を加速させる戦略を取ることが考えられる。
AIとロボットの融合: OpenAIの高度なAI技術をロボティクスに応用し、新たな製品やサービスの創出を目指す動きが期待される。
引用元: Tech Crunch