テック業界がクリーンエネへ急転換/マイクロソフトAIが描くユーザーを”励ます”AIアシスタント/Meta”オリオン”, The Verge副編集長のすばらしい体験レポート
AIの電力需要が急増する中、グーグルやマイクロソフトは地熱や原子力に投資。CO2排出削減が困難な状況に、クリーンエネルギー開発が急務/マイクロソフトのCopilotが進化。音声・視覚認識や推論機能を搭載し、ユーザーを励まし支えるAIアシスタントへ。未来のAI体験を先取り/Metaの”オリオン”ARグラスは未来を切り拓けるか?必見の動画体験レポート
みなさん、おはようございます。今日のニュースです。
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1. AI成長が招くエネルギー危機,テック業界がクリーンエネへ急転換
AI技術の急速な普及に伴い、グーグルやマイクロソフトなどのテック大手は膨大な電力需要に直面し、CO2排出量も急増している。これに対応するため、地熱や小型原子炉など新しいクリーンエネルギーへの投資が進む一方、排出削減目標の達成は困難を極めている。持続可能なエネルギー源の開発とCO2除去技術の導入が急務となっているが、その道のりは平坦ではない。
要旨:
AIブームが引き起こす電力消費の急増とCO2排出問題
AI技術、とりわけ生成AIプラットフォームの普及により、グーグルやマイクロソフトのデータセンターは従来よりも10倍以上の電力を消費している。特にチャットGPTのような生成AIは、標準的な検索機能より大幅に高いエネルギー負荷を要求する。この影響で、グーグルのCO2排出量は過去4年間で50%近く増加し、マイクロソフトも40%の増加を記録している。2030年までにデータセンターによる排出量は米国全体の年間排出量の40%に達する可能性があり、このままではテック業界が掲げる環境目標に黄信号が点灯している。
新たなクリーンエネルギー技術への積極的投資
グーグルはネバダ州で地熱発電に投資し、地元データセンター向けに安定したクリーンエネルギーの供給を試みている。さらに、ノースカロライナ州とサウスカロライナ州では、マイクロソフトやアマゾン、グーグルが電力会社デューク・エナジーと連携し、小型原子炉の開発に向けた電力購入契約を結んでいる。これにより、24時間365日稼働するデータセンターの膨大なエネルギー需要をカバーするため、風力・太陽光発電だけでは足りない部分を補おうとしている。
原子力再稼働とCO2除去技術の導入
クリーンエネルギーの中でも特に注目されているのが原子力だ。マイクロソフトはスリーマイル島の原発再稼働に伴い、20年間の電力供給契約を結んでいる。また、オラクルは3基の小型モジュール炉(SMR)を導入予定であり、データセンターの電力供給源として活用する計画だ。さらに、CO2除去技術も重要な要素となっており、グーグルはホロシーンというスタートアップ企業から2030年までに10万トンの炭素除去クレジットを購入する契約を締結。これにより、膨大な電力需要に伴う温室効果ガス排出への対策を強化している。
変化の予兆:
AIの成長に伴う電力需要は今後も増加の一途をたどるため、テック業界は持続可能なエネルギー源の確保に向けた技術開発を加速させるだろう。特に、地熱発電や小型原子炉といった安定的で大規模な電力供給が可能な技術は、今後の主要なエネルギー源として注目されていく。また、CO2除去技術のコスト削減とスケール拡大が求められており、技術革新が鍵となる。さらに、エネルギー価格の不確実性や各国の規制動向次第では、テック業界の成長が再生可能エネルギー市場全体に影響を与える可能性が高い。
引用元: Wall Street Journal
2. マイクロソフトAIが描く未来:Copilotが音声と視覚を持ち、ユーザーを「励ます」AIアシスタントへ
マイクロソフトはAIアシスタント「Copilot」を大幅にアップグレードし、人間のような音声と視覚認識機能を付加した。これにより、Copilotはユーザーの感情に寄り添い、対話を通じてユーザーを「励ます」存在へと進化する。また、CopilotはCEOムスタファ・スレイマンが提唱する新たな「Think Deeper」機能により、推論力を強化し、より高度なタスクや課題解決に対応できるようになっている。AIが個人に寄り添う未来が実現しつつある。
要旨:
音声・視覚認識と推論能力の進化
マイクロソフトのCopilotは、最新の技術を用いて音声認識と視覚認識の能力を持つようになった。音声認識では自然な会話を模倣し、ユーザーの言葉を理解して応答する能力が向上している。視覚認識は、スクリーン上のコンテンツを「見て」、状況に応じたフィードバックを行う機能だ。これにより、ユーザーは手動で操作することなく、PCと直感的にやり取りができる。さらに、AIの推論力を強化する「Think Deeper」機能が導入され、複雑な問題解決や分析が可能になった。これらの技術は、OpenAIの「o1」モデルを基にカスタマイズされている。ムスタファ・スレイマンのビジョンとCopilotの役割
ムスタファ・スレイマンはAI業界における重要な人物だ。彼はDeepMindで「AlphaGo」を生み出し、AIが人間の思考に迫るレベルの推論力を持つことを証明した。彼が信じるのは、AIがユーザーを支え、共感し、励ます存在であるべきという理念だ。Inflection AIでの経験を通じて、彼はAIに心理的サポートや励ましの力を持たせるという目標を掲げ、マイクロソフトでもこの理念を継続している。Copilotは、その一環として、単なるタスク管理を超えた、ユーザーに感情的なつながりを提供するアシスタントへと進化している。市場競争とセキュリティへの対応
現在、AIアシスタントの競争は激化しており、GoogleやAmazonも同様の技術を開発している。しかし、マイクロソフトのCopilotは「励ます力」や「Think Deeper」といった独自機能で差別化されている。特に、ユーザーのプライバシー保護に対する慎重な姿勢は大きなポイントだ。Copilotは視覚データを保存せず、対話ログも最高水準のセキュリティで保護されている。これにより、ユーザーは安心してAIを利用できる環境が整備されている。
変化の予兆:
今後、Copilotはより高度なAIエージェントとして進化し、ユーザーの代わりにタスクをこなすだけでなく、個別のニーズに基づいた推奨や意思決定を行うようになると予測される。特に、買い物やスケジュール管理などの分野では、AIが完全に代行する未来が現実味を帯びてきている。また、マイクロソフトが蓄積する膨大なデータを元に、個々のユーザーに合わせたパーソナライズされた体験が提供されるようになるだろう。Copilotは、ビジネスや個人生活の全てに深く浸透し、AIが人々の生活を支える基盤となる可能性が高い。
引用元: WIRED Japan
3. Metaの”オリオン”ARグラスは未来を切り拓けるか?The Verge副編集長のすばらしい体験レポート(動画必見)
MetaのARグラス「オリオン」は、スマートフォンを超える次世代コンピューティングを目指すザッカーバーグの壮大なビジョンを体現している。しかし、高コストや製造の難しさなどの課題が立ちはだかる中、AppleやGoogleとの競争で優位に立つことは容易ではない。
要旨:
技術革新:シリコンカーバイドレンズとEMG技術
オリオンはMetaが独自開発したMicro LEDプロジェクターとシリコンカーバイド製レンズによって、これまでにない広い視野角と高精度な表示を実現している。シリコンカーバイドは軽量で耐久性が高く、光の屈折率が高いため、小型化と高輝度を両立するが、量産時の歩留まりが悪く、現時点では1台あたり1万ドル近いコストがかかる。さらに、神経リストバンドはEMG(筋電位)技術を使い、手の微細な動きを正確に認識する。この技術は、将来的に物理的な入力デバイスを不要にする可能性があり、操作体験の革新を目指している。競争環境:AppleとGoogleとの覇権争い
Metaがオリオンで狙うのは、スマートフォンに代わる次世代プラットフォームだ。しかし、Appleの「Vision Pro」やGoogleのARグラス開発、さらにはSnapのSpectaclesといった強力な競合が存在する。Appleは特に、強固なエコシステムと強力なブランド力を武器に市場の支配を狙っている。MetaはRay-Banとのコラボでスマートグラス市場に早期参入したものの、一般ユーザー向け製品としての普及には至っていない。Metaの挑戦はスマートフォン市場でGoogleやAppleに押され続けた経験から生まれたものであり、ザッカーバーグにとって、次世代プラットフォームへのシフトは戦略的に不可欠だ。次世代への展望:オリオンの進化と市場展開
オリオンの次世代モデルは現行の技術課題を解決しながら、数年以内に消費者向けとして登場する予定である。ザッカーバーグは、オリオンが単なるハイエンドガジェットではなく、日常的に使える製品になる必要があると強調している。そのためには、シリコンカーバイドから別の素材への移行や、レンズの小型化、高解像度化、コスト削減が課題となる。MetaはAIとのシームレスな連携を強化し、AR体験をより直感的でユビキタスなものにしようとしている。さらに、AR市場の普及には、オリオンのような高機能デバイスだけでなく、価格帯が手頃なエントリーモデルの投入も必要である。これにより、Metaはスマートフォン時代に果たせなかったハードウェアでの覇権を、ARグラスを通じて実現する可能性がある。
変化の予兆:
Metaが次の数年間で競争を勝ち抜くためには、コスト効率の改善と量産技術の確立が不可欠である。また、AIとの連携を強化することで、より幅広いユースケースに対応できるように進化させることが求められる。次世代ARグラスの展開において、MetaはAppleやGoogleに先んじて新たなプラットフォームを築く可能性があるが、それは製品の完成度と価格競争力にかかっている。
引用元: The Verge
オリオンの入力デバイスはEMGなんですね。日常使いではVision proほどの没入感はなくても十分そうですね